就労・介護について

1) 介護保険の申請・利用までの流れ

申請対象者

65歳以上(第1号被保険者)
40歳から64歳以下で住民票のある市町村に住む
医療保険加入者(特定疾病対象者 16疾病)

申請先

住民票のある市町村の介護保険担当窓口となります。

2) 申請の流れとして

①相談

②要介護認定の申請(市町村)

③訪問調査・主治医意見書の提出

④審査・判定されます

⑤認定結果の通知結果

となります。
認定が認められた場合に要支援1・2、要介護1~5の認定となります。
認定が出たら、地域の介護支援専門員に相談して利用したいサービスの相談をおこないケアプランの作成をしてからサービス利用開始となります。

利用できるサービス

訪問サービス・通所サービス・その他居宅サービス・短期入所サービス・施設サービス・地域密着型サービスがあります。
認定においても利用できるサービスの内容や時間などについても違いがあります。
費用負担

費用の自己負担においても1割~3割負担と所得に応じて異なります。

3) 障害者手帳の交付の申請・利用までの流れ

身体障害者手帳は、身体の機能に一定以上の障害があると認められた方に交付される手帳です。
身体障害者手帳制度は、身体障害者福祉法に基づき、都道府県、指定都市又は中核市において障害の認定や交付の事務が行われています。

障害の種類としては、視覚障害 ・ 聴覚又は平衡機能 ・ 音声機能、言語機能又はそしゃく機能・ 肢体不自由 ・ 心臓、じん臓又は呼吸器の機能・ ぼうこう又は直腸の機能 ・ 小腸の機能 ・ ヒト免疫不全ウイルスによる免疫・ 肝臓の機能となります。
身体障害者手帳の交付申請は、都道府県知事、指定都市市長又は中核市市長が指定する医師の診断書・意見書が必要です。
※診断基準などにおいても認定基準があるので、認定基準を満たしているかについては、主治医に相談ください。

身体障害者手帳は、障害の程度に応じて1級~6級までの等級区分があります。
医師が診断書・意見書を記入して、申請者の顔写真を用意し、住民票をおいているは市町村・役場にて申請を行います。手帳交付までには約1か月~2か月かかります。

手帳が交付されると医療費の助成・日常生活用具の給付・補装具の交付や修理にかかる費用の助成・所得税や住民税の控除などの支援を受けることができますが、支援内容は市区町村や障害の等級によって異なります。また、手帳の提示によって、公共交通機関やレジャー施設などの民間サービスでも、割引などを受けられる場合があります。

4) 高額医療費制度について

重い病気などで病院等に長期入院したり、治療が長引く場合には、医療費の自己負担額が高額となります。そのため家計の負担を軽減できるように、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される高額療養費制度があります。

ただし、保険外負担分(差額ベッド代など)や、入院時の食事負担額等は対象外です。

また、入院や外来通院で医療費が高額になる場合、窓口でのお支払いが一定の金額となる「限度額認定証」を交付します。「限度額適用認定証」を病院、薬局などの窓口で提示すると、入院や外来診療、調剤薬局等の窓口での支払上限額が、法定自己負担限度額となります。年齢や収入に応じて対象にならない方もいますが、まずは申請について各保険者に問い合わせてください。

5) 障害がある場合の就労について

障害者に対する就労支援として、障害者総合支援法における就労系障害福祉サービスには、就労移行支援、就労継続支援A型、就労継続支援B型、就労定着支援の4種類があります。

  • 就労移行支援
    就労を希望する障害者であって、一般企業に雇用されることが可能と見込まれる者に対して、一定期間就労に必要な知識及び能力の向上のために必要な訓練を行います。
  • 就労継続支援A型
    一般企業に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が可能である者に対して、雇用契約の締結等による就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供を行います。
  • 就労継続支援B型
    一般企業に雇用されることが困難であって、雇用契約に基づく就労が困難である者に対して、就労の機会の提供及び生産活動の機会の提供を行います。
  • 就労定着支援
    就労移行支援等を利用して、一般企業に新たに雇用された障害者に対し、雇用に伴う生じる日常生活又は社会生活を営む上での各般の問題に関する相談、指導及び助言等の必要な支援を行います。

利用要件

障害者手帳を取得しており、障害者総合支援法をお住まいの市町村にて申請をおこない区分認定を受けているなどの要件が必要となります。
また、サービスにおいても支給要件等が異なります。
相談場所として、お住まいの市町村役場・地域にある障害者相談支援事業所にお問い合わせください。

障害者雇用

身体障害者交付を受けている方において、ハローワーク等においても障害者雇用枠等を取り入れている企業もあるので、ハローワークにて相談をおこなうことができます。

6) よくある質問

夫の介護で疲れてしまいました。休みたいのですがどうすればいいでしょう?

医療機関の中では、介護疲れなどによるレスパイト入院がおこなえる病院などもあります。入院期間も決まりなどがある場合もあります。まず、病院の地域連携室やソーシャルワーカーに相談してみてください。
介護保険の認定を受けている場合は、ショートスティの利用や施設サービスへの短期入所など、認定されている要介護度によって利用できる可能性があります。まず、担当の介護支援専門員(ケアマネージャー)に相談してみてください。

自宅で使う杖や歩行器が欲しいのですがどこで購入できますか?

介護保険の申請をおこない要介護・要支援の認定がおりると、地域にある地域包括支援センターや居宅介護支援事業所の介護支援専門員(ケアマネージャー)と相談をしてください。杖や歩行器のレンタルが可能となる場合があります。
購入する場合は自費となりますが、福祉用具専門店にて購入することが可能です。

介護用のおむつは控除対象と聞いたのですが手続きはどうすればいいですか?

6か月以上寝たきりの場合、おむつ代(紙おむつの購入費及び貸しおむつの賃借料)は、主治医が発行した「おむつ使用証明書」があれば医療費控除の対象になります。申請方法については、お住まいの税務署にご確認ください。

介護に必要な物品はすべて実費で購入しないといけないのでしょうか?

① 身体障害者手帳の交付を受けている方

障害区分において、日常生活用具の購入や補装具等の申請をして、認められると介護に必要なものを購入する際の費用補助を受けられる場合があります。
相談先として、市町村役場担当課・病院のソーシャルワーカーに相談してください。

② 介護保険の認定を受けている方の場合

介護保険の要介護・要支援の認定がおりれば、介護に必要な物品のレンタルが可能です。レンタルが可能なものは、特殊寝台、特殊寝台付属品、車いす・車いす付属品、床ずれ防止用具、スロープ、手すり、歩行器、歩行補助杖などです。
購入の費用助成が可能なものは、腰掛便座・入浴補助用具・簡易浴槽・リフトの吊り具などで、購入費用の補助を受けることができます。
※利用者がいったん全額を支払った後、費用の9割(一定以上所得者の場合は8割又は7割)が介護保険から払い戻されます。(償還払い)
※同一年度で購入できるのは10万円までです。レンタルや購入助成以外のその他の用品については、実費購入となります。まずは担当の介護支援専門員に相談してください。病院のソーシャルワーカーにも相談可能です。

脳卒中になって麻痺が残りました。また働くことはできますか?

健康だった人が病気にかかり治療が必要になると、以前の通りには働けなくなるケースが出てきます。麻痺の具合や仕事内容にもよっても働く要件が変わることがあります。

現在は、治療と仕事の両立支援が推進されています。治療をしながら働きたいという思いがあり、主治医が可能と判断した人が働くことができるような環境の整備が進みつつあります。治療と仕事の両立支援は、疾病により支援が必要な労働者(患者)本人からの申請から始まります。その際には、事業者が両立支援を検討するために必要な情報を収集して提出する必要があります。「勤務情報提供書」などの事業場が定める様式を活用して、業務内容や勤務時間など、自らの仕事に関する情報を主治医に提供することも可能です。自ら情報を収集することが困難な場合や、事業場内ルール等が不明な場合は、事業場の産業保健スタッフや人事労務担当者に相談してください。

主治医からの情報収集や、事業者とのやりとりに際して、主治医と連携している医療ソーシャルワーカー、看護師等や、 地域の産業保健総合支援センター、保健所等の地域で活動している保健師、社会保険労務士等の支援を受けることも選択肢の一つです。

また、医療機関や事業所の中に両立支援コーディネーターの資格を持った職員がいます。支援対象者が治療と仕事を両立できるよう、それぞれの立場に応じた支援の実施、両立支援に関わる関係者との調整※を行います。
※関係者との調整に当たっては、両立支援コーディネーターが支援対象者の代理で交渉を行うものではありません。

休職中ですが、職場復帰に向けてどのような手続きが必要となりますか?

勤務先との相談が必要です。場合によっては、勤務先の労務担当者・上司・産業医との相談が必要なこともあります。
また、相談機関として、産業保健総合支援センターがあります。

在職中の方の職場復帰に向けて、あるいは病気療養中の方が、勤務時間の配慮や仕事変更等の配慮を希望する時に事業所に申し出る手続きの相談に応じたり、事業所に同行して職場復帰についての相談を、事業所・相談者(労働者)の両者の調整・助言などを行っています。

徳島県は徳島医師会館3階に徳島産業保健総合支援センターが設置されているので、気になることがあれば相談してください。

徳島県内で復職や新規就労に関して相談できるところはありますか?

職業紹介や、雇用に関する各種の相談・指導・雇用保険の給付をはじめとする就労に関することは、県内のハローワークに電話・来所で相談可能です。

住宅改修には補助があると聞いたので利用したいのですが。

介護保険の認定を受けている場合

住宅改修範囲

  1. 手すりの取付け
  2. 段差の解消
  3. 滑りの防止及び移動の円滑化等のための床または通路面の材料の変更
  4. 引き戸等への扉の取替え
  5. 和式便器から洋式便器等への便器の取替え
  6. その他1~5までの住宅改修に付帯して必要となる住宅改修

改修の流れ

申請方法は、市町村によって異なります。

①まず、担当の介護支援専門員に相談をしてください。改修内容を決め、見積もりを取得します。

②住宅改修の支給申請書の一部を保険者(市区町村)へ提出します。

③保険者(市区町村)は提出された書類により、保険給付として適当な改修かどうかを確認します。

④工事の施工・完成となります。

⑤工事費用を全額支払います。

⑥正式な支給申請を保険者(市区町村)へ提出します。

⑦保険者(市区町村)は事前に提出された書類との確認、工事が行われたかどうかの確認を行います。

⑧当該住宅改修費の支給を必要と認めた場合、利用限度額の9 割分(8 割分・7 割分)が2~3ヶ月後に指定口座に振り込まれます。

支給額

一生涯20万円までの定額です。利用限度額を超えた金額は自己負担です。20万円の範囲であれば、複数回に分けて行った場合でも保険給付を受け取ることができます。但し、ご利用者の要介護度が著しく高くなった場合及び転居した場合は、再度20万円までの利用限度額が設定されます。

その他

身体障害者手帳を交付されている方や難病患者等に対して、住宅改修や改造の費用が助成される制度があります。手すりの取付け・段差解消など住環境の改善を行う住宅改修に要する費用の一部に助成が可能です。

要件

障害の内容により利用できる方とできない方がいます。また、所得などによる制限もあります。

問い合わせ

お住いの市町村役場にお問い合わせください。

  • 執筆者徳島大学病院 医療ソーシャルワーカー 富永 誠記
  • 作成日2022年10月25日